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期間限定オフの小説最終話用ブログ(2008年7月より運営)
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1回この最終話についてあらすじ作った方がいいですよね。
長い上に更新もちょこっとずつですから話忘れちゃいますし!
現に私でさえ大まかな流れしか把握してませんし!(お前
…最終話と言わず、今までの流れもいつか振り返りますか。

3月が終わる…orz
本編に戻ったのいつぶりだよ!orz

 
 
 
 *
 
 
 
 
ごう、と遠くの炎が急に爆ぜる。
それに顔を曇らせたのはリコリスだった。
ナズナの元から立ち上がり、『セイサクシャ』の方へよろよろと歩み寄り、口を開いた。

 
「ヒガン…炎が勢いを取り戻してきたみたいだ」
 
「ええ。あの方角は、本当の『あなた』がいる場所だったわね」

 
『セイサクシャ』はリコリスのこしらえた植物ソファから立ち上がると、寄ってきたリコリスの頬をそっと、愛おしそうに撫でて言葉を続ける。

 
「わたしにできることは、もうこれが限界みたいなの。
本当にごめんなさい……」

 
生まれ咲いた芽はまた橙色の光に呑まれる。
若々しい黄緑も赤い花びらも、次々と茶色く燻っては塵にかえる。
リコリスは俯いた『セイサクシャ』の手をとって懇願した。

 
「三日前みたいに『ボク』を一時的に移動させてよ…今は町の人は皆寝てる…沢山の水を積んだ車がこなければ、雨も降りそうで降らない……。
仲間はどんどん死んでる…『ボク』も死んじゃう……!」
 
「リコリスだけじゃない」

 
カシの声に、ナズナも、スズシロ(が本名ではないけれど)も同感していた。
収まらない炎、全員が疲弊しているこの現状、助けを呼ぼうにも町の人は眠っている。
蒼白な顔でスズシロは皆が思っていることを口にした。

 
「全員……ここで終わりかしら……」

 
横たわるゼンマイの額に傷つけられていない方の手を置いて、スズシロは溜め息をつく。
変色し始めた左手の脈が強く感じられる。
気持ち悪い。
こんなに計画を狂わされてしまって。

 
「スズシロさんの仲間には連絡できないの…?」

 
あの、SPとか、と数日前に自分に接触してきたり、追いかけてきたりした人物達をナズナは思い出しながら、願うように提案した。
今はもう『欠ケモノ』だとか『監視ビト』だとか気にしている場合ではない。

 
「連絡して……彼らが着くにはヘリを使ったとしても…この火の海では私達の命は……。
トレーラーハウスの中の召使も…町の人と同じ状態……」

 
私ったら、使えませんわね。
白い顔で自嘲するスズシロに、ナズナは返す言葉が見つからなかった。

 
会話の途切れた瞬間、熱風とは違う冷やりとした風が舞い込む。
ナズナの三つ編みは後ろになびいた、ということは前から、リコリスと『セイサクシャ』のいる方向から急に風が吹いたのだろう。

 
「私の力はもう色々と限界みたい…でもね」

 
ここで終わるわけにはいかないの。
顔を上げたセイサクシャに、リコリスは赤い瞳を潤ませた。
自然と手を握る力も少し強くなる。

 
「ヒガン!それじゃあ」
 
「わたしの大好きな赤いバラはもう百十九年生きたんだっけ」

 
え、と不思議な顔をするリコリスに『セイサクシャ』は…ヒガンはにこりと笑った。

 
「今度は、わたしの中で生きてちょうだい?」

 
ナズナは今まで忘れていた恐怖を思い出す。
炎を抑えたときのような氣の流れがナズナ達に伝わるのに、そう時間はかからなかった。
後ろの植物ソファはするすると崩れて黒く腐ってしまう。
ヒガンとリコリスの周囲から円を描くように、周りが黒く染め上げられていく。
リコリスはかくんと膝をついて倒れこんだ。

 
「「そんな……!?」」

 
リコリスとナズナがほぼ同時に呟いた。
ヒガンを握っていた手の形そのままに、リコリスは先に逝った同胞に抱かれる。

 
「ごめんね。大好き……だったと思うわ」
 
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HN:
柊葉
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女性
自己紹介:
某高校で文芸部に所属していました自称駄文クリエイター。今さっき命名(←)。オリキャラ好きーです。高校在学中に執筆していた「仮死にとらわれ」という作品の最終話をワケあって連載します、ネットサーフィンで辿り着いた方で1話から読みたいって方がいれば声かけて下さいませ。時々詩や日記や作品解説も。

※個人誌「仮死にとらわれ」は2008年度の作品です、年度の表記を怠ったのを今更ながら後悔;
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