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期間限定オフの小説最終話用ブログ(2008年7月より運営)
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23…で合ってます、よね。
6月中にぎりぎり1話更新!;

話中に「何日か前にきみに言われたこと」という表記があったりするわけですが
その詳細は個人誌の2.5歩「ソレゾレ」の中にあったかと思います。多分。
確か…ナズナが一人帰ったとしてもスズシロがひっとらえてカシを呼び出す都合のいい餌にする、みたいな。
おおまかに言えばですが。何か違う感じがしますが(…

終わりが近づくにつれて色々悩みます。
付かず離れずみたいな関係か、それとも、ねぇ。


 
 
 
 *
 
 
 
 
「カシーっ!リっくんっ!ハノウさん!!」

 
だーっと勢いよくふすまを開け放ったナズナに、布団の上であぐらをかき髪の毛を編んでいたカシは手を止めた。
朝っぱらから何なのだろう。

 
「どうしたの?」
 
「ああ、カシは大丈夫みたいだね…」

 
ほっと胸をなでおろすナズナを暫し見上げてから、三つ編みを再開する。
すぐに事の説明をしてくれるだろう、と予想しながら。

 
「……」
 
――?

 
いつもの三つ編みが完成してしまい、改めてナズナを見上げようとした、が、見上げるまでも無かった。
 
同じ目線に、即ち膝をついて肩で息をしている彼女が目に入ったのだ。

 
「っ! きみ、本当にどうしたの?」
 
「な…なんだかね…今日の朝起きた時から、変なん、だ」

 
でも、私はまだ平気な方なのかも…と、まだ布団を被って寝ている二人――イチョウは例外である――を見やった。
そんなナズナの不安げな瞳をカシは見据える。

 
「…、きみと親しくしてたあの人も起きてないんだ?」
 
「そうっ、ツバキさん、今日は家にいるっていうから、昨日よりも遅寝しているのかもしれないけど…。
でも九時だよ?一応声かけたんだけど、それでも起きないの。
揺すってみたりもしたんだけどね」

 
それと、と少し間を置いて落ち着いてから、ナズナは話し続けた。

 
「私は、起きた直後、よく分からないんだけど力が入らなくって……。
でっ、でもね!これでもその時よりかは幾分平気になってきたんだよ!」

 
足の裏で畳を踏みしめ、立ち上がろうとしたナズナにカシは静止の声をかけて、座るように促す。

 
「無理しなくていい」
 
「え…いや、本当に大丈夫だよ?」
 
「……、それなら良かった」

 
きみに改めて話があるんだ、とカシは切り出した。

 
「話を聞いて、思ったんだけど――今日のこの状況は、昨日の状態の延長なのかもしれない。
最も、今この家の人達以外がどうなっているのか分からないけど」
 
「あー…、私も思ったけど、昨日は急に意識不明になる人達が沢山いたじゃない?
今日は、ツバキさん達は朝になっても目覚めない。
状況が少し違うと思――あ、そっか」
 
「寝ているうちに意識不明になったとしたら……繋がりはあるよね」

 
カシの考えにナズナはこくこくと頷く。

 
「この町の何処か、もしくは別の場所に原因はあると思う。
それで、俺の都合のいい仮説だけど、この件には『セイサクシャ』か、あるいは『欠ケモノ』『監視ビト』が絡んでいる気がしてならない。
今のこの町は、あの屋敷の令嬢よりも危険な気がする。
そこで、だ」

 
装束を踏まないように、すっと立ち上がったカシは部屋の隅に置かれた自分のトランクを取りに行った。
瞬間、ナズナは嫌な予感がした。
ナズナの近くに戻って座ったカシはトランクの口を開けて、お菓子の入った透明な丸い筒を取り出した。
筒の大きさは、見積もって十五センチの立方体に収まるぐらいだろうか。

 
「俺の記憶する中で、人生で言うなら三番目、お菓子の中でなら一番大切なお菓子なんだけど」
 
「まさか、これをやるからきみは何処か安全な場所にでも行ってて欲しい……とか言ったら、私、カシのこと引っぱたくかもしれない」

 
ぷっくりと膨らんだ肌色に近いお菓子、フォーチュンクッキーを、ナズナは高一の頃遠足で中華街に行って食べたことを思い出しつつ、それをじっと見つめていた。

 
「何日か前にきみに言われたことは分かってる。
でも、昨日だってきみは倒れかけたし今だって辛そうだった。
俺は何ともないのに。
それならいっそこの町を出て、あのお嬢様に捕まったとしてもむしろその方が安全だろうし、俺の居場所は此処だって分かるだろうからすぐに帰してくれると思うんだ」

 
緑の目が真剣に訴えかける。
ああ、心配してくれているんだ、と分かる。
でも、それでも。
気づいた時にはナズナは右手のひらでパンッと小気味いい音を立てていた。
本人でも思ったより力が入ってしまって動揺する。

 
「え、うわ、あの、カシ……ごめん」
 
「きみは…やっぱり変だ」

 
頬をさすりながら、飽きれたように小さく溜め息をつくカシにナズナは納得いかなかったが、今言うべきは。

 
「私だけのこのこ引き下がるわけにはいかないんだから。
カシが『普通』になるのを見届けるまでは、『セイサクシャ』に会うまでは帰らない。
カシ一人だと……心配だもの」
 
「一人は、別に大丈夫だよ?」

 
まぁ、そうなんだろうけど…とナズナは言葉を濁した。

 
――一人にさせると、カシがいつの間にか消えてしまうような、そんな気がして。

 
急に、ごそり、と布団の動く音がしたので二人はぎょっとしてその方向に目を向けた。
のんびりと起き上がった、栗色の寝癖がついたままのその人は目をごしごしと擦って、二人をぼんやりと眺めた。

 
「あれ?ナズナ姉ちゃんにカシ兄ちゃんおはよう。
何かあったの?」

 
寝起きのリコリスを見て、二人は顔を見合わせた。
 
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無題
タイトル思いつかなくてすいません…
核心に迫ってきましたね!少しずつがなんか逆にいいですよ、ワクワクしますー!

ナズナとカシがほのぼのでらぶらぶに見えるのは私だけですか(←色々とすいません

りっくん…この展開だと底抜けに怪しい子になっちゃってますよ、特にカシにとって。

ではなんか(ってか確実に)どうでもいいかもしれないような感想ですみません…これからもちょくちょく覗かせていただきます

P.S コメントありがとうございました
白鼠 2009/07/01(Wed)18:14:34 編集
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某高校で文芸部に所属していました自称駄文クリエイター。今さっき命名(←)。オリキャラ好きーです。高校在学中に執筆していた「仮死にとらわれ」という作品の最終話をワケあって連載します、ネットサーフィンで辿り着いた方で1話から読みたいって方がいれば声かけて下さいませ。時々詩や日記や作品解説も。

※個人誌「仮死にとらわれ」は2008年度の作品です、年度の表記を怠ったのを今更ながら後悔;
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