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期間限定オフの小説最終話用ブログ(2008年7月より運営)
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やっと時間軸が現在になって出番が来てよかったねぇ主人公さん、な回。
無理がある展開だったりするけど気にしません。<オイ

スズシロ達が車に乗り込んだ日は現在から2日前だったり。
個人誌読んだ方しか分からないと思うけれど、それから半日かけてあの人達のいる
村に着いたんですね。
小説のストックが切れ掛かってるから今日は遅くまで起きて書こうかなー。
多分10月になったらきつくなってくると思いますし。

 
 
 
 
 
 
 
 
「あの町かな…?」
「え?」
舗装された土の道を、茶髪三つ編みの女の子と黒装束に長い白髪の三つ編みの青年は歩いていた。前方を見てふと声を出した女の子――ナズナに、まさか、と懐から折り畳まれた地図を取り出して青年――カシは確認する。
「…本当だ。位置は確かに合ってる」
カラカラとトランクを牽きながら二人はその場所に近づいていた。後ろには、細い車輪の跡と足跡が薄くつけられている。クスノさんのお店からビロウの教会まで程じゃないけれど遠かったよねぇ、と話しかけてくるナズナにカシは疑問を口にした。
「きみさ、あれが赤い花しか咲かない町だってなんで分かったの?」
「え、だって町が全体的に赤く見えない?」
「俺は赤というよりは焦げ茶…黒ずんで見えるんだけど」
そう言われてみると、確かに黒ずんで見える部分もあるというかむしろ黒ずんだ部分の方が多いな、とナズナは思った。二人の見え方の差異の謎は、町に到着してから分かることとなる。
 この一週間と今朝は太陽が輝いていたのに、お昼が近づいてくると段々と曇ってきた。雲が出てきた頃、ナズナとカシは町に入ることができた。其処で二人は、状況把握に少し時間を要してしまう。
「ちょっとこっちに人手寄越して!」
「子供は見つかったんですか!…ああそうか、なら」
「簡易テントが足りないぞ!」
「…ああはい…割と国が動くのが早くて…ええ…」
多くの人が忙しなく歩いたり走ったり、バタバタと、ざわざわとしている。道には何故か焦げた靴が落ちていたりした。
「あなた、この町の人じゃありませんね?」
ナズナは何処から声が聞こえたのかきょろきょろとして、うちです、うちとその女性は自身を指差してナズナにアピールする。ナズナと変わらないか、少し上くらいの年の女性だと窺える。はい、とこくりと答えてとりあえずこの人に事情を聞こうかなと考えた。
「あのう、この町って一体何があったんですか…?赤い花しか咲かない町だと聞いていたんですけど花も無いようですし」
「あぁ、あなたこの町の怪奇現象を見に来たのね。でも生憎、もう赤い花は無いかも…。この町の様子を見てくれれば分かると思うけど――早朝、大規模な火事があったの。火は三時間ぐらい前に消えたばっかりなのよ」
遠くから見て赤く見えたのは何台もの消防車、黒ずんで見えたのは焼けた建物であった。朝に、こんな大規模な火事だなんて珍しい。ナズナは大変な時に来てしまったと思った。今は火事の被害に遭った人の救済や行方不明者の捜索、復興作業に忙しくて、とその女性は話す。
「そんな状況じゃ、『セイサクシャ』を探すのも難しそうだね」
「製作者?あの、こちらの不思議な彼もあなたの知り合い…?」
「あ、はい。私はナズナ、この黒装束の人はカシって言います」
「うちも自己紹介が遅れました、うちはツバキって名前です。せっかくこの町に来てくれたのにもてなしが出来なさそうでごめんね、ナズナさんにカシさん」
少し訛りを含んで謝るツバキに、いえいえそんな!とナズナは手を振りまくった。と、ナズナに何かが閃く。
「あの、なんだか大変そうですから私達お手伝いしますよ。丁度此処に用がありますから」
「きみ、私〝達〟って言った?」
「いいじゃない!『セイサクシャ』探しも兼ねてお手伝い!そりゃ、私達は大したことできないかもしれないけれど…少しは役に立てるんじゃないかな。カシは何か文句あったりするの…?人の為にカシ売りさんやってたりしたんだし、文句ないよね。ちょっと間違った人の為だったけれど」
最後の方はツバキに聞こえない声で呟いて、じーっと平たい目でカシを見上げるナズナに分かったよ、と諦めたようにカシは返事した。
「そんな!気を使わなくていいのよ?」
「いえ、傍から見ても大変そうじゃないですか。私達、人探しと併せてお手伝いします」
「…そういうことなんで、何をすればいいですか?」
「まぁ…お二人とも…。ありがとうね」
にっこりとツバキは二人に礼を言った。
「ところで、どんな人を探しているの?製作者って言ってたみたいだから何かを作っている人?この町にはそういう人は限られてるから、うちの知ってる人かも」
「えっと、違うんです、『セイサクシャ』っていうのは」
あだ名?とナズナはカシの方に一回顔を向けてみた。あだ名でいいんじゃない、とカシは返す。ナズナは上着のポケットから、出発する直前にビロウから貰った四つ折にした紙を取り出して開いた。
「というか、『セイサクシャ』っていう呼び方はそんなに気にしないで下さい。ええっと」
見た目は六歳ぐらいの幼い女の子。赤い着物を着用。黒髪のおかっぱ。もしかしたら髪に赤いバラを挿している。高飛車。口調が大人寄り。紙に書いてあることを一通り説明した後に、その文面と一緒に書かれていた絵をツバキに見せた。
「へぇ、ナズナさん絵が上手なのね」
「あ、これは私じゃなくってビロ…違う人が書いたものです」
「ビロ……ってまさか、この町の南の村にいるビロウって人のこと?不老不死とかいう噂の?」
――あの人、やっぱり有名なのか。
風が煙たい空気を運んで流れていった。ツバキはビロウの名を聞いた途端にぱぁっと顔を輝かせた。
「祖父から話を聞いたことがあるぐらいなんだけど、あなた達ビロウに会ったんだ…!いいないいなぁ!うちもいつかあの村に行ってみたいと思ってたの!噂じゃ彼、格好いいんでしょう?」
「あー…ルックスはそうですね…」
ビロウに興味津々のツバキに、ナズナは冷や汗を流した。けれど少し安心した。ビロウを恐れている人ばかりじゃないんだと。過去起こった話を聞いたときには、想像以上の寂しさを抱えているんじゃないかと思っていたから。ビロウの口調といい性格からはそんなバックグラウンドを感じとれないが。
「ああ、でも今は彼の話をしている場合じゃないね。その絵に描かれた女の子は見たことないな…。っていうか、随分と不思議な女の子よね、説明を聞く限りでは」
「私も聞いたときにはびっくりしました…まず、存在したこと自体が」
まだ信じられないようにじっと紙を見つめるナズナにツバキはきょとんとした。どんよりとした雲に切れ間が出来、そこから差し込む太陽の光がきら、とツバキの左腕につけられた腕時計に反射した。
「あ、そろそろ交代の時間かも。じゃあ二人とも、一緒に来てくれる?」
はい、とナズナとカシはツバキに従って歩いていった。遠くにパトカーのサイレンを聞きながら。
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自己紹介:
某高校で文芸部に所属していました自称駄文クリエイター。今さっき命名(←)。オリキャラ好きーです。高校在学中に執筆していた「仮死にとらわれ」という作品の最終話をワケあって連載します、ネットサーフィンで辿り着いた方で1話から読みたいって方がいれば声かけて下さいませ。時々詩や日記や作品解説も。

※個人誌「仮死にとらわれ」は2008年度の作品です、年度の表記を怠ったのを今更ながら後悔;
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