[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
仮死が完結したのは9月…+αどれだけ更新するの遅いんですかって話ですorz
昨日夜10時~3時ぐらいで書きました←
昔と比べて詩物語の質は衰えたような変わらないような?
お人形さんは「仮死」と関わっていますが、
4作品の中でこれが一番関わっていますね。名前出てますし。
詩よりも物語に近いと思われます。
エピローグ…其の40の続きだと思って頂ければ幸い。
「仮死」を読んでいなくても普通の詩物語として楽しめる、というのが
お人形さんのコンセプト(だったのか)だったんですが
これは…守れてないような…すみません(´・ω・`)
長い間「仮死」を見守って頂き本当にありがとうございました。
では追記より。
…どうでもいいけど、一番目の歌だけ高3の時に用意しておいた歌なんだ←
キイ、と大聖堂への扉が音を立てる。
ひとりでに開くことのないその扉を不審に思い、青年は歩を進めた。
この扉はノブを捻らなければ開かない。
年数は随分と立っているが、それでも風で開くなんてことは一度も無かった。
段上の長椅子の間を通り、扉の、入り口には――誰も居ない。
「どこを見ているの」
青年はその声に驚くことも無く、振り返った。
「きみから来てくれるとはね」
青年の視線の先には、赤い着物を纏った女性が、一番手前の長椅子に座り込んでいた。
「わたしはあなたの思い通りには動かないのよ」
「昔からそうだった」
青年も赤い着物の女性の隣に座り込んだ。
「ねえ」
女性は青年に近づいて口を開いた。
「あなたの目にわたしは、どう映っているの」
青年は答えた。
「綺麗になったね」
笑むことはなく。
「……消えてしまうのが惜しいくらいに」
女性は笑った。
あなたにとってそれは嬉しいことだろうに、と。
女性は言った。
わたしの力が途絶えれば、あなたは死ぬのよ、と。
女性は言い続けた。
だからわたしを恨みなさい。
罵りなさい。
先に消える私を哂いなさい。
何も、誰の願いも叶えられなかった私を哂いなさい。
青年は言った。
「とうに昔から恨んでいたよ」
恨みはらしにそうだね、と青年は考える。
「きみの好きな歌を聞かせてくれないか――ヒガン」
そのあとで思い切り哂ってやるから。
赤い着物の女性はそっと声をふるわせる。
♪♪♪♪♪♪♪...
いらっしゃい 美しい踊り子がスカァトをはためかせて舞い艶(あで)る
みぃんなくぎづけ 拍手喝采雨あられ!
踊り子は愛らしく笑む それは魅惑の鎖 つかまらない者は誰もいないわ
疎む人もありき 恨み僻みそして羨望のいばらみち!
笑みを好く者忌む者 とらわれ者はどこへ行く
踊り子を殺すの? 守るの? 赤い空赤い花に舞台は見守られる
これはなんて題名(タイトル)の人形劇 入場料はいくら
踊り子はただ目の前の人間を幸せにしてあげたかっただけなのに
台風の中心でお人形を動かしているだけなんて
自らが踊ることもできないなんて
皮肉な話ね
♪♪♪♪♪♪...
「大きければもっと構ってあげるんだけどね」
それは少女の修羅を燃やしたことば
初めての奇跡を足蹴にされたことば
「多くの女性、そしてきみはどんな綺麗な女性になるか知れないのだから」
それは少女の心が揺れ動いたことば
青年に奇跡を施さんとしたことば
にんげんとわたし 青年と少女 正統と異端
少女の皮をかぶった化け物 ことば一つで彼に興味をもちて
多くのにんげんを好いている化け物 彼だけに固執せり
どうして 問いは宙に溶けるのみ
誰も答えてはくれない
♪♪♪♪♪...
わきあがるこの音 気持ちはなんでしょう
小さなホールで棒を振る彼はまるでマジシャン
マジシャンの奏でる音 真似してみましょう
ら らら Lala る ララララ I wish ルル
音叉の響きに声を重ねて 少女の声は響き渡るわ
言の葉を一つずつ紡いで マジシャンにありがとうを伝えましょう
「わたしに歌を教えてくれてありがとう」と
鈴が転がったような声音にのせて
ありがとうありがとう
あなたの記憶回路 わたしの催眠術
こうかんこも受け入れてくれて
歌を歌いながら 少女は今日もにんげんに近づいてゆくわ
きっと
♪♪♪♪...
異国のおはなし きかせてあげる
あるところにそれは可愛い女の子がおりました
容姿端麗お金持ち 噂は広くとどいておりました
人気者の女の子 けれど独りぼっちの女の子
みぃんな彼女のうわべだけに取りつかれているの
誰も彼女の心に触れません 可哀想な女の子
女の子は親の取り決めで婚約がきまりました
高潔な大会社の御曹司 燃える赤髪氷の瞳
彼の親も彼もうわべだけに取りつかれているわ
女の子は独りぼっち ではありませんでした
御曹司も独りぼっち 女の子は気付いたのです
女の子は御曹司に寄り添いました
私たちは二人ぼっち
誰の理解も もういらない
♪♪♪...
移りにけりないたずらに
とある唄うたいの女の子 ゆくあてもなくのどをふるわせて
聞き手はだぁれもいないのに
少女の唄は死に唄 誰にも届かず誰にも響かない
移りにけりないたずらに
とある唄うたいの女の子 泣き虫少年に声かける
今までだぁれも答えてくれなかったのに
少年は泣きながら返事をした
少女は陰で嬉しがる
彼の心に響いておくれ 希望の唄
少女の唄は慰みの唄
少年に三度 内よりそっと響かせて
♪♪...
荒野に赤バラを手向けましょう 1本2本
荒野を真っ赤に埋め尽くしましょう 私の好きな色染め上げて
赤い野原に人を送りましょう 1人2人
赤い野原をより賑やかしましょう 寂しい気持ち吹き飛ばして
そこの独りぼっちの少年も来なさいな 誰もが満たされる私の国
私だけはずっと荒野に置いてけぼりなのだけど
独りぼっちの少年はこわごわ口を開く
一緒に行こう ボクと荒野を出よう?
きみが好きなきみの国
ボクはきみと見てみたい
私は独りぼっちの少年の手を取った わたしが好きな私の国へ
わたしが好きな 好きな 好きな 好きな?
好き なんて気持ち 真面目に考えたことあったかな
♪...
問いを拾ってくれたのは誰?
螺旋をほどいてくれたのはあなた?
好きという気持ちを教えてくれたのはきみ?
台風を晴らしてくれたのは神様?
哀れな人形繰り師に さんさんと光降り注ぎ
終了10分前 さあさあクライマックスよ
駆け足で終わってしまうわ 集中しましょ
シェファーズパースはプラスの道を歩き始めたみたい
ラディッシュフラワーもまた納得のエンディングを
カンフォーツリーはらしくあり
ドロップウォートは光を見出し
ペパーミントは確実に善い方向へ
人形劇が進むにつれてもっと沢山のお人形がドラマを紡いだ
人形繰り師 元踊り子の手から離れてお人形は舞う 舞う
さあフィニッシュ! オークが中央で礼をする
まるで全力で踊ったよう 踊り子は汗を光らせて礼をした
入場料はいりません
わたしは皆を幸せにしたかっただけだから
チリンチリン 人形劇の終幕のベルが鳴る
鑑賞ありがとうございました と
「踊り子はまた人形劇をやったのかな」
青年の問いにヒガンはいいえ、と答えた。
「彼女は人目につかないところで独り死んでしまうの」
「わたしだったら死なせないがね」
少なくとも独りでは、と青年は言った。
「悲しいラストだって哂えばいいわ」
言って女性は青年の顔に気が付いた。
「ああ、もうお別れみたいね」
女性の髪、そして着物の輪郭がぼんやりと光っていた。
赤い粒子がぽろぽろと落ちていく。
わたしはもうこの世にとどまっていられないみたい。
力を奪ってもただの悪あがきにすぎなかった。
人間にもなれず、色んな人を不幸にしただけで、無様だわ。
赤い粒子が頬を伝う。
せっかく、昔より仲間の増えたあなたを延命させることも難しいの。
わたしがあなたに執着していた理由は苛立っただけじゃないのよ。
でもその他の理由が分からなかった。
だからあなたをわたしと一緒に ずっと生きながらえさせて答えを探していたの。
青年は答えた。
「わたしは十分生きたよ」
それが意図した生でなくても、もう十分。
「ヒガンに対して色々思うことはあるけれど。
女の子を独りにさせるのは紳士じゃないからね」
今、わたしと共に逝くことは可能なのかな。
ヒガンは驚いた。
そして笑った。
赤い粒子をぼろぼろ零して。
「あなたは人。
わたしは化け物。
共に逝くことはできないわ……あなたは私が殺した女性達の元へ行くけれど、わたしは何処へ行くのかしらね……」
「わたしも化け物さ。
長い年月を生きて、少しばかりきみの力も持っているのだから」
青年は小指を差し出して微笑んだ。
外れ者同士指きりをしようか。
きみの元に私が行けなかったら恨め。
ヒガンはそっと小指を絡めた。
「――ありがとう、ビロウ」
静かな聖堂の中ビロウは長椅子に寝そべった。
「最期のきみは人間らしかったよ」
わたしを思ってくれてありがとう、ヒガン。
ビロウはゆっくりと瞼を閉じる。
彼女の元へ行けることを願って。
♪~
それは小さな恋の歌
心は交換こした覚えがないのにどうやら
化け物にも心はあるらしいわ
教わって作ったチーズケーキ ひっそり台所を借りて作ったから
どうかその生を終える前に 覗いて欲しい
まるで人間の女の子みたい だけれど私は化け物
わたしはは化け物だけれど
言われたって困るだろうから言わずに逝くわ
あなたに恋焦がれていたの きっと ずっと
人間を幸せにはできなかったわたし
恋なんてものを抱く資格はないけれど
答えの見つかったわたし
それは小さな幸せの歌
誰にも届かないけれど死に歌ではないの
わたしのため わたしだけの歌
Fin.
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
※個人誌「仮死にとらわれ」は2008年度の作品です、年度の表記を怠ったのを今更ながら後悔;