期間限定オフの小説最終話用ブログ(2008年7月より運営)
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卒業制作の小説を悶々と考えているのですが、
やはり、なんだか非現実的な世界観へ行ってしまう…しかしあと1ヵ月半で
なんとかなるかしら……。
ちょっと調子に乗りまして、「仮死」を卒業制作の先生に見て頂きました。
お忙しい(と思う、その先生も小説家なので)ところ全部しっかり読んで下さって
いろいろ言ってくださって大変参考になりました!
改めて、誰かに読んでくれることってとても嬉しいですね!!
さて、今回の話は「仮死」の世界観を借りて作った別のお話です。
カシ達だけではなく、他の場所でも『セイサクシャ』に会っている人は確かにいるのです。
そして続くような終わり方ですが書く予定はありません。
主人公がどんな冒険して~というのも想像してはいますがね。
課題用に作ったので「仮死」で使われている言葉は使っていなかったりするので
より内容がイマイチかもしれませんが、暇つぶし程度にどうぞ。
■課題
一枚のポストカードの絵から話を考える。
私が題材にしたものはミヒャエルゾーヴァの描いたイラストの葉書です。
土色、けれどぼんやりと光の霞む空。
草原の中のカーブした1本道。
真ん中に血統の良さそうなわんこ。
道に沿って等間隔に立っている電柱、電線の上にはブタ2匹。
わんこはブタ2匹を見上げている。
向かい側に立つ木の上にもブタ1匹。
夢想にとらわれ
「周りの奴らもさ、現実に縛られすぎだと思うわけ。
一つの常識の目でしか物事を見ない!
それこそ可笑しいと思うんだ」
一つの常識の目でしか物事を見ない!
それこそ可笑しいと思うんだ」
彼はある少女にそう言った。
少女は可笑しいのはあんただと返した。
少女は可笑しいのはあんただと返した。
「最近やったゲームで、現実は虚構で、虚構は現実だって言う中ボスキャラがいたんだよ。
分かるなぁ俺」
分かるなぁ俺」
彼はある少女にそう言った。
少女は音楽を聞くのに夢中だった。
少女は音楽を聞くのに夢中だった。
「以前ニュースで空からオタマジャクシが降ってきたっていうのを見たけど、あれは降ったんじゃなくて飛んでいたんだと思うんだ…って、なぁ、聞いてるのか――?」
彼はある少女にそう言った。
少女は――。
少女は――。
ふわふわのパーマがかかったライトブラウンの長髪を風に遊ばせたまま、少女は横たわる少年の傍らにしゃがみこんでいた。
幸せそうに眠っている彼をじっと見つめている。
幸せそうに眠っている彼をじっと見つめている。
「……クチナシ、あんた、そんなところで寝るなんてどうかしてるよ。
唯でさえ変人なんだから」
唯でさえ変人なんだから」
ずっと頭の中で、彼――クチナシの不思議発言が反芻される。
今だって、話しかければむっくりと起き上がって、開口一番可笑しなことを言ってくれるのかもしれない。
なんだかんだで、少女は彼の話を好いていたのだ。
今だって、話しかければむっくりと起き上がって、開口一番可笑しなことを言ってくれるのかもしれない。
なんだかんだで、少女は彼の話を好いていたのだ。
「貴女、まだ現実を受け入れようとしていないのね」
ひゅうひゅうと風のうねる中に、鈴の転がったような高くて可愛らしい声を聞いて少女は首だけ振り返った。
少女の瞳の中には赤い着物を羽織った、少女よりもずっと幼い女の子が映っていた。
ついっと少女はまたクチナシの方に向き直る。
同時に茶色の長髪もふわりと浮かんだ。
少女の瞳の中には赤い着物を羽織った、少女よりもずっと幼い女の子が映っていた。
ついっと少女はまたクチナシの方に向き直る。
同時に茶色の長髪もふわりと浮かんだ。
「お嬢ちゃんの名前、ヒガンだっけ?」
「そう名乗ったけど、そう呼んでくれる人がいるのよっていう話」
「現実のクチナシを救うも救わないも、私次第って言ったよね」
「ええ、そこの髪の毛ぼさぼさの坊やと最も親しい、『心の糸』で結ばれた者同士だもの」
さく、さくと草の根を踏みしめて、ヒガンという名の不思議な女の子が隣に並んだのを少女は音で感じた。
「この坊やはね、わたしでも驚くぐらいの世界を内に秘めていたの」
そんなの、ずっと知ってる。
中一から高一まで何回変な話を聞いてきたんだか。
中一から高一まで何回変な話を聞いてきたんだか。
「坊やは現実よりもずっとずっと、内にある世界に恋焦がれていたわ」
ふふっと、女の子は柔らかく笑って言い続けた。
「だからわたし、坊やの願いを叶えてあげたの。
現実と虚構の世界を引っ繰り返した。
今頃坊やは何をしているのかしらね」
現実と虚構の世界を引っ繰り返した。
今頃坊やは何をしているのかしらね」
おかっぱに近い黒髪をくるりといじくりながら楽しそうに話す女の子。
この子、頭がどうかしてる――なんて考えは、少女の頭にはとうにどうでも良くなった、とは言い切れないが、確かに主張する現実だけが頭をもたげていた。
そっと、クチナシの肌に手を伸ばすと彼の体温は氷のようだった。
この子、頭がどうかしてる――なんて考えは、少女の頭にはとうにどうでも良くなった、とは言い切れないが、確かに主張する現実だけが頭をもたげていた。
そっと、クチナシの肌に手を伸ばすと彼の体温は氷のようだった。
「別に死んではいないわ、ちゃんと元気に生きてる」
「妄想の中で?」
皮肉って言う少女に、貴女から見ればそうかもね、と女の子は返した。
少女はクチナシから手を離してすっくと立ち上がり、初めて女の子を真面目に見た。
少女はクチナシから手を離してすっくと立ち上がり、初めて女の子を真面目に見た。
「こいつ、起こしてあげたいんだけど」
はたと風が止んだ。
まるでその言葉を待っていたかのように、女の子はにこりと笑んだ。
まるでその言葉を待っていたかのように、女の子はにこりと笑んだ。
「貴女はそう言うと思っていたわ」
びゅおう、と不意打ちのように風がふきつけたので少女は思わず目を瞑ってしまった。
「坊やにとって夢想が崩されることが、果たしていいのか分からないけども」
*
そして現在に至る。
憂いを湛えた黄緑色の草原に、少女は柴犬と共に座り込んでいた。
ふぅ、と溜め息をついてから柴犬に会話の終わりを告げる。
ふぅ、と溜め息をついてから柴犬に会話の終わりを告げる。
「なるほど、ヒガンという娘のせいでお嬢さんはへんてこりんな運命に巻き込まれたのですね」
「そ。
この世界の何処かにいるクチナシを探して起こしてやらなきゃ、現実の私もあいつも眠ったままなんだよね」
この世界の何処かにいるクチナシを探して起こしてやらなきゃ、現実の私もあいつも眠ったままなんだよね」
空を優雅に漂う肌色の物体を見上げながら、少女は犬に向かって話した。
犬も上を見上げる。
犬も上を見上げる。
「美味しそうなソラブタですよねぇ」
「美味しそう、かぁ。
ほんと、想像以上に変で、面白い世界だよ」
ほんと、想像以上に変で、面白い世界だよ」
クチナシの世界って。
犬は喋るし豚は飛ぶ。
他にも色々ありえないことがまかりとおっているのかもしれない。
ふっと笑う少女に、犬はちょこんと首を傾げた。
犬は喋るし豚は飛ぶ。
他にも色々ありえないことがまかりとおっているのかもしれない。
ふっと笑う少女に、犬はちょこんと首を傾げた。
「そういえば、お嬢さんの名前を聞いていませんでした」
「あー、私の名前?
私は、クチナシには…」
カラスウリって呼ばれてるよ、と答えてから少女は悪友探しのために立ち上がった。私は、クチナシには…」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
字数とか考えた結果、説明不足の点もかなりあります……。
カラスウリの本名は考えていません。無くても問題ない←
何故カラスウリなのかというと、彼女の家の隣の空き地に烏瓜が群生しているからです。
彼女の家の敷地にも侵入しているらしい。
カシ売りとか掛けたかったのもちょっとは…ある←←
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某高校で文芸部に所属していました自称駄文クリエイター。今さっき命名(←)。オリキャラ好きーです。高校在学中に執筆していた「仮死にとらわれ」という作品の最終話をワケあって連載します、ネットサーフィンで辿り着いた方で1話から読みたいって方がいれば声かけて下さいませ。時々詩や日記や作品解説も。
※個人誌「仮死にとらわれ」は2008年度の作品です、年度の表記を怠ったのを今更ながら後悔;
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