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期間限定オフの小説最終話用ブログ(2008年7月より運営)
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本日2本目の更新です、が!
こっちは短いですorz
おや、ツバキのようすが…?



 
 
 
 
ガチャン

 
受話器を戻したナズナはうな垂れていた。
全く、どうしたものだろうか。
ばたばたと誰かがこの部屋に駆けてくる。

 
「ナズナちゃん、お爺ちゃんね、まだ呼吸があるみたいなの!」
 
「そうなんだ、良かった……」
 
「ナズナちゃん…?」

 
青くなっているナズナに、ツバキはそっと呼びかけた。

 
「なんだかね、お爺さんみたいに倒れる人があちこちであったらしくて、すぐには救急車来れないって…」
 
「嘘っ、嫌な偶然…!」

 
あ、でもとナズナは言い足す。

 
「呼吸があって良かった…。三十分以内には来るそうだから…」
 
「ああそれなら、今の状態を保っていてくれれば助かるかもしれないわ…」

 
ふう、とツバキは柱に寄りかかった。
カチカチと時を刻み続ける秒針を見つめて、ナズナはそういえばと口を開く。

 
「レストランの方はどうするの…?」
 
「お爺ちゃんが心配だから家にいたいけれど…でも、行かないとお爺ちゃん怒るかも。
あっちも人手足りてるのか、ちょっと心配なのよね…」
 
「なら、」

 
家には三人いるから行ってきなよ!とナズナは提案した。
こっちは大丈夫だから、お爺ちゃんは私達が看てるから、と。
ツバキの黒目が優しく微笑んだ。
ちょこんとしゃがんで、電話の前で座りっぱなしのナズナの手を取った。

 
「おおきに!」

 
これが素の喋り方なんだろうと、ナズナは思った。

 
「お客様に家頼むなんてエラい話やけどしゃあないね。
夜んなったらうちに任せて、それから昨日みたいにビロウのこととか旅のお話聞かせるんよ?」
 
「勿論っ」

 
すっとツバキは立ち上がって、行ってきますと声をかけてから再び家を出て行った。

 
――私にできることは他に……。

 
ナズナはもう一度受話器を手に取った。
必要無いかもしれない。
来るのに相当時間がかかるかもしれない。
でも一応、保険として。
ぴ、ぴと誰かに電話をかけ始めた。
 
 
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柊葉
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女性
自己紹介:
某高校で文芸部に所属していました自称駄文クリエイター。今さっき命名(←)。オリキャラ好きーです。高校在学中に執筆していた「仮死にとらわれ」という作品の最終話をワケあって連載します、ネットサーフィンで辿り着いた方で1話から読みたいって方がいれば声かけて下さいませ。時々詩や日記や作品解説も。

※個人誌「仮死にとらわれ」は2008年度の作品です、年度の表記を怠ったのを今更ながら後悔;
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