期間限定オフの小説最終話用ブログ(2008年7月より運営)
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実はまだ此処らへん10月のストック分だったりする罠、です;
最終話は事件が起こりやすい。
カシは以前よりも積極的になった気がする。
最終話は事件が起こりやすい。
カシは以前よりも積極的になった気がする。
「ツバキ、それを食べ終わったらお前はもう戻りなさい。
片付けはわしがやるから、レストランはまだ忙しいんだろう」
片付けはわしがやるから、レストランはまだ忙しいんだろう」
昼食を済ませた後に、イチョウを除く四人は先の箱の中身であるドーナツを堪能していた。
抹茶味のもっちりしたドーナツを飲み込んでからツバキはイチョウに向かって声をかけた。
抹茶味のもっちりしたドーナツを飲み込んでからツバキはイチョウに向かって声をかけた。
「いいよーお爺ちゃん、うち片付けてから出かけるから。
たまの帰りぐらい手伝わせてよ」
たまの帰りぐらい手伝わせてよ」
「たまの帰りだからこそお前には家でも疲れて欲しくないんだよ。
レストランも大変だろうが事件の後だ、お前はそこで必要とされているはずだよ」
レストランも大変だろうが事件の後だ、お前はそこで必要とされているはずだよ」
ううん、分かったと答えるツバキに、これはなんて大人の会話なんだろうかとナズナは一人感心していた。
昨夜雑談したところに寄るとツバキは十八らしく――今年で十九になるようだが――とてもナズナと一つ違いだとは思えない。
容姿は納得できるが。
イチョウは四人がまだドーナツを食べ終わらないと見て居間を出て行った。
ガラガラ、と戸の開けられる音が四人の耳に届く。
昨夜雑談したところに寄るとツバキは十八らしく――今年で十九になるようだが――とてもナズナと一つ違いだとは思えない。
容姿は納得できるが。
イチョウは四人がまだドーナツを食べ終わらないと見て居間を出て行った。
ガラガラ、と戸の開けられる音が四人の耳に届く。
「お爺さん何処か出かけたの…?」
「片付けるって言ってくれたから…、多分うちらがドーナツ食べ終わるまで花壇に水遣りでもしに行ったんじゃないかしら?」
なるほど、とナズナは苺味のチョコレートでコーティングされたドーナツをぱくついた。
「少し質問していい?」
ツバキを見て喋りかけたカシに、どうぞ、とツバキは気さくに返した。
「この町の赤い花って、いつから咲き始めたのか知ってる?」
「うーん…、うちが生まれる前からもう赤い花は当たり前になっていたみたいだけれど、
いつからっていうのは分からないなぁ。
お爺ちゃんならうちよりも詳しく知っているかも」
いつからっていうのは分からないなぁ。
お爺ちゃんならうちよりも詳しく知っているかも」
「へぇ、後で訊いてみるよ。
じゃあもう一つ、今日町を歩いて思ったんだけど、
火事のことは話題になっているのにいきなり咲き誇った赤い花に誰も住民は疑問を感じていないのは、何で?」
じゃあもう一つ、今日町を歩いて思ったんだけど、
火事のことは話題になっているのにいきなり咲き誇った赤い花に誰も住民は疑問を感じていないのは、何で?」
「あ、それ私も思った」
じっとツバキを見てみると、ツバキは不思議そうに首を傾げた。
「うーん…強いて言うなら、慣れかな?」
「植物って一日あれば花開くもの、っていうのがこの町の常識になっちゃってて。
赤い花に限るけど、と言っても赤い花しかないんだけど」
赤い花に限るけど、と言っても赤い花しかないんだけど」
こんなに大規模な火事は初めてだけれど、落雷や子供が花を引っこ抜くとか花が無くなる事例は前にも色々あってね、とツバキはその度に花が復活していることを説明してくれた。
俄かには信じ難い話だが、カシとナズナは素直に聞いていた。
ふとツバキは顔を上げ、柱に掛けられた丸時計を見て立ち上がった。
俄かには信じ難い話だが、カシとナズナは素直に聞いていた。
ふとツバキは顔を上げ、柱に掛けられた丸時計を見て立ち上がった。
「うちはそろそろあっちに戻るね。
何か問題が起こったら電話するなり、家からそう遠くないから直接来てくれて構わないわ。
ナズナちゃんにカシさん、女の子捜すの手伝えなくてごめんね」
何か問題が起こったら電話するなり、家からそう遠くないから直接来てくれて構わないわ。
ナズナちゃんにカシさん、女の子捜すの手伝えなくてごめんね」
手を合わせて謝るツバキに、昨日探してくれたじゃないとナズナは慌てて言った。
じゃあまた夜に、と言ってツバキは戸を閉めた。
「私達もまた出かける?
食器とか台所に運んだ後に」
食器とか台所に運んだ後に」
「そうだね…。
きみはどうする?」
きみはどうする?」
二人とも迷いそうだからついてってやるよ、とリコリスはにかっとした。
――私のフォローなんていらなそうだなぁ。
じーっとリコリスを眺めていたその時、家の戸は慌しく開かれた。
「誰か来て!お爺ちゃんが倒れているの!!」
「お爺が!?」
三人の中に電流に似たものが駆け巡った。
「わ、私救急車呼ぶね!」
「いや、まずお爺さんの容態を救急隊の人に知らせることが出来るぐらいには知らないと」
こくりとナズナは頷いて、二人は玄関に駆け出した。
その後にリコリスが続く。
その後にリコリスが続く。
家のすぐ横の花壇の傍で、ツバキがイチョウを家の中に運ぼうと努力していた。
それを発見したカシは急いでツバキからイチョウを預かって負ぶった。
イチョウの頭に巻かれた布を見て、ナズナは目を見開く。
それを発見したカシは急いでツバキからイチョウを預かって負ぶった。
イチョウの頭に巻かれた布を見て、ナズナは目を見開く。
「お爺さん血が出て…!?」
「店で配ってるタオルがバッグの中に入っていたからそれで止血したんだけど…。
花壇のブロック塀に頭打ったみたいで、うちが出かけの挨拶しようと思ったらジョウロが転がってて…!」
花壇のブロック塀に頭打ったみたいで、うちが出かけの挨拶しようと思ったらジョウロが転がってて…!」
平静を保とうとしているがツバキの目は潤んでいた。
救急車呼ぶから!とナズナは居間へと三つ編みを風に任せっぱなしで走っていった。
救急車呼ぶから!とナズナは居間へと三つ編みを風に任せっぱなしで走っていった。
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自己紹介:
某高校で文芸部に所属していました自称駄文クリエイター。今さっき命名(←)。オリキャラ好きーです。高校在学中に執筆していた「仮死にとらわれ」という作品の最終話をワケあって連載します、ネットサーフィンで辿り着いた方で1話から読みたいって方がいれば声かけて下さいませ。時々詩や日記や作品解説も。
※個人誌「仮死にとらわれ」は2008年度の作品です、年度の表記を怠ったのを今更ながら後悔;
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