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期間限定オフの小説最終話用ブログ(2008年7月より運営)
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合宿から帰って来て大分間が空いてしまいましたが元気です!
いや、そんなことより2月って28日までしかないのを思い出しました。
…3月中に終わるかしら…。

5ヶ月ぶりに小説更新です待っていて下さった方いたら申し訳ない…!
しかも過去話だから話繋がっていません申し訳ない…!
更に言うと短いです申し訳な、い…orz

最近はゲームにうつつを抜かしすぎだと思います。
妹のテイルズを見ているのが楽しいです…はいすみません…orz



 
 
 
 *
 
 
 
世の中には神様に愛された子、が存在するものだ。

 
瑠璃桜家の長女は、幼い頃から色々なものに長けていた。
ピアノ、ヴァイオリン、習字、護身術の合気道、剣道、エトセトラ。
ただ、料理…特にお菓子作りは、年を重ねるごとにしなくなっていた。
それだけは、弟に敵うことがなかったから。

 
長女には一つ違いの弟がいた。
弟もそれなりのことができたが、姉にはお菓子作り以外に勝てるものはなく、むしろ劣るものばかりだった。
弟はそんなことは気にせず、お菓子を愛し、姉をとても好いていたのである。

 
けれど姉は違った。
弟のことは嫌いじゃない。
自分のことを好いてくれるなんて可愛い弟だ。
だけど。

 
『坊ちゃん』
『スズシロ様』
『スズシロ坊ちゃん』
『スズシロ』
『スズシロ』
『スズシロ』

 
あの子は私よりも劣っている。
劣っているのに、屋敷の者も、外のお客様も、――父親も、皆皆弟のことばかりちやほやする。
自分がピアノで賞をとったら、確かに皆褒めてくれる。
でも、それが瑠璃桜であるなら当たり前みたいに、簡単に褒めそやしてはさっさと次の仕事に向かう。

 
弟は違う。
私との対応の仕方が違うんじゃないかって、幼心に姉は召使いに聞いたけれど、そんなことはないですよとにっこり返された。
でも、その召使いの弟に対する接し方が一番違うように思えた。

姉は分からなかった。
分からないままに時が過ぎて、大学生になった頃父親の容態が急変した。
死を覚悟した時に、父親は『るりさくら』の社長の権利を誰かに委ねることになる。
姉は弟よりもずっと秀でている自分が、自分こそが社長になるだろうと考えていた。
けれど父親が社長に指名したのは、弟で。

 
長男だから。
自分がもうお菓子自体を好いていないから。
それは製菓会社の跡継ぎにとってよろしくないことだから。
自分は社長としての器がまだなっていなかったから。
考えられる理由をありったけ考えた。

 
『スズシロのサポートを頼む』

 
弱弱しい声で父は最期にそう残した。
瑠璃桜の関係者は皆すすり泣き、それは長女も例外でなかったけれど。

 
――私への待遇の答えはどこにありますの。

 
世の中には神様に愛された子、が存在するものだ。
弟がそれに当てはまる人、ただそれだけのことだったと、暫くして長女はそう悟った。
そう悟ってから、いや、悟る前から彼女は弟に嫉妬していた――。


 
 
ある日その不思議な事態は起こる。
明確な日にちは何故かはっきりと覚えていないし記録にも残っていない。
『社長』が記憶喪失になった。
原因不明、それも急で屋敷の者は皆困惑した。
ただ一人、長女だけが彼が何故かは分からないが『欠ケモノ』という種になったこと、今が自分にとってのチャンスなのではないかと考えた。
『るりさくら』の新社長、つまり弟の顔がまだ世間に出ていない…!
知っていてもまだ屋敷の者と一部の会社だけの今なら…!
仕事も弟を手伝ってきたから分かるし、この混乱に乗じて

 
――私がスズシロになり代われる。

 
欲望を抱いた花はそっと笑った。
それが長女の一部の話。
そう、本当に一部の。
 
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HN:
柊葉
性別:
女性
自己紹介:
某高校で文芸部に所属していました自称駄文クリエイター。今さっき命名(←)。オリキャラ好きーです。高校在学中に執筆していた「仮死にとらわれ」という作品の最終話をワケあって連載します、ネットサーフィンで辿り着いた方で1話から読みたいって方がいれば声かけて下さいませ。時々詩や日記や作品解説も。

※個人誌「仮死にとらわれ」は2008年度の作品です、年度の表記を怠ったのを今更ながら後悔;
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