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期間限定オフの小説最終話用ブログ(2008年7月より運営)
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私信は後日返信します…こちらに帰ってこられたら返信しますよなんて。
今回短いんだけども次回長くなりそうです。
今…やっと奴が主人公に絡み始めたのです…長かったなぁ。
本番はこれからだけれど。

ウルシの台詞は思いつきやすいんだけど凄く打ちにくいです…('・ω・`)

 *
 
 
 
 
パチパチッと火の粉が爆ぜる音と、もうもうと煙の立ち上る僅かな音に赤い花々は呑まれていた。
花弁は火に触れると忽ちくしゃくしゃになり、小さくなっては黒ずみと化す。
煙は何箇所にも上がっていたが、全部合わさるのは、つまり野原が火の海になるのは時間の問題ではないだろう。

 
そんな場所に、黒コートに身を包んだ男はあぐらをかいて、青いサングラス越しにその光景を眺めていた。
男の周りの赤い花はへし折られたり、潰されたりしている。
勢いをじわじわと増す炎に、男の口角が自然と吊り上った。

 
「そろそろ、こちらも危ないんではなくて?」

 
声がした方に男は振り向きもしない。
男の左斜め後ろに佇んでいたドレッシーな女性は、きゅっと結んだ口をいつも持ち歩いている扇子で開いて隠した。

 
「何、マダコッチニハ火ガ来ナイッて」

 
町ニ着イタラ人ハイナイシ変ナ空気ハ漂ッテルシデオ嬢様ノ機嫌ガヨクナイノハ分カルケドな、
と男は続けて言って、懐から金属製の小型弓矢のようなものを取り出した。
女性は言われたことよりも、男のその行動に目を見張る。

 
「っ、もうそれは充分だと思いますわよ…?」
 
「早ク燃エテクレタ方ガアノ召シ使イヤオレ達、町ノ奴ラニトッテぷらすナンだ」

 
――一昨日燃ヤシタハズナノに。

 
ぎり、と小さく男は歯軋りする。
火の手の弱そうな場所に片手で小型弓矢を構えたその時、地面を踏みしめる三つの足音が男と女性の耳に届いた。
男は構えた手を下ろし、女性は長い黒髪をふわりと浮かせて振り返り、嬉しそうな笑みを浮かべてみせる。
黒い瞳に映った三人のうち、二人の顔は驚きを隠せなかった。

 
「この町には、もう起きている人はいないんじゃないかと思っていましたのよ」

 
ぱちんと扇子を閉じて、三人の元に女性はしとやかに寄り、男と三人の距離との中間ぐらいで足を止める。

 
「何故か私の感知能力まで鈍ってしまっていたみたいで…。
まぁ、その謎は先ほど解けたからいいとしまして、この間はごめんなさいね。
とにかくもう一度会えて嬉しいですわ」

 
女性――スズシロに優雅に微笑みかけられて、ナズナとカシは一瞬時が止まったように感じた。
赤い花が燃えていく音も、近くを流れる小川の音も、微かに通り過ぎる熱風の音も、
それらは全て、まるで遠くに追いやられる。
 
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HN:
柊葉
性別:
女性
自己紹介:
某高校で文芸部に所属していました自称駄文クリエイター。今さっき命名(←)。オリキャラ好きーです。高校在学中に執筆していた「仮死にとらわれ」という作品の最終話をワケあって連載します、ネットサーフィンで辿り着いた方で1話から読みたいって方がいれば声かけて下さいませ。時々詩や日記や作品解説も。

※個人誌「仮死にとらわれ」は2008年度の作品です、年度の表記を怠ったのを今更ながら後悔;
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