期間限定オフの小説最終話用ブログ(2008年7月より運営)
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ちょっとずつちょっとずつ。
一応話は進んでいる…つもり。
変な箇所があれば指摘してやって下さい;
どっちを起きている役(?)にすればいいか迷った←
一応話は進んでいる…つもり。
変な箇所があれば指摘してやって下さい;
どっちを起きている役(?)にすればいいか迷った←
*
パッポー、と居間の柱に掛かった鳩時計が一時を知らせる時刻に、台所だけ照明がついていた。
カシ一人、かちゃかちゃと音を立ててお菓子作りの後始末、洗い物の最中だ。
カシ一人、かちゃかちゃと音を立ててお菓子作りの後始末、洗い物の最中だ。
――アウトドアよりもキッチンの方がいいね。
少し苦笑して食器を濯ぐ。
ざーっと水で流れていく泡をぼんやり見ながら、それでも手は休むことなく机の上にピカピカになった食器が積み上げられる。
と、そんな時に急に廊下の照明がついた。
ざーっと水で流れていく泡をぼんやり見ながら、それでも手は休むことなく机の上にピカピカになった食器が積み上げられる。
と、そんな時に急に廊下の照明がついた。
「カシ様、それ、手伝いましょうか?」
振り向くとお馴染み白衣姿のハノウがにこりとしていた。
いや、とカシは首を振って
いや、とカシは首を振って
「俺が好き勝手やってることですから大丈夫ですよ、それにもう拭くだけなんで。
起こしてしまったみたいですみません…」
起こしてしまったみたいですみません…」
と言ってから少し頭を下げた。
それは違いますよ、とハノウは少し慌てて訂正する。
それは違いますよ、とハノウは少し慌てて訂正する。
「ずっと起きていたので謝らないで下さい。
カシ様に少しお話があったので出歩いたまでのこと――で、
あの、それとは全く関係ないのですが、先程作っていたのはチーズケーキですか?」
カシ様に少しお話があったので出歩いたまでのこと――で、
あの、それとは全く関係ないのですが、先程作っていたのはチーズケーキですか?」
台所の残り香で分かったのだろうか、ハノウはそう尋ねてきた。
「あぁ…最後に作ったのはチーズケーキですね。
リコリスくんがレシピを教えて欲しいと聞いてきたので、説明だけよりも実際に作ってあげたほうがいいだろうと思って」
リコリスくんがレシピを教えて欲しいと聞いてきたので、説明だけよりも実際に作ってあげたほうがいいだろうと思って」
「優しいですね。
それに即興で作れるとは凄い…」
それに即興で作れるとは凄い…」
旅をされているのにそれだけの材料が手元にあるとは、とハノウは驚く。
カシは食器を一枚一枚丁寧に拭きながら、いつでもお菓子が作れるようにしたいんでね、と答えた。
カシは食器を一枚一枚丁寧に拭きながら、いつでもお菓子が作れるようにしたいんでね、と答えた。
きゅ、と布巾と食器の擦れる音がふと止まる。
「少し話をしてもいいでしょうか?
ナズナ様にはもう伝えたお話も含めて」
ナズナ様にはもう伝えたお話も含めて」
無言でカシは頷いて、食器を落とさないようにそっと机に置いた。
「ワタシが此処に来たいきさつは荷物を運んで下さった際にお話しましたが、
ビロウ達がもうじき此処に来ることはカシ様にはまだ伝えていませんでしたね?」
ビロウ達がもうじき此処に来ることはカシ様にはまだ伝えていませんでしたね?」
「…そう…ですね…」
そう言って、机の縁に両手を乗せて静かに目を閉じた。
白髪の三つ編みがさらりと揺れて、頬に流れていた冷や汗を吸収する。
白髪の三つ編みがさらりと揺れて、頬に流れていた冷や汗を吸収する。
――ッ……またか……。
「明日の朝には着くのではないかとワタシは思うのですが――っ!
カシ様、何処か具合が悪いのですか!?」
カシ様、何処か具合が悪いのですか!?」
「……別に…何でも…」
「何でもない、というような顔ではないじゃないですか!」
ズキン、と頭の中で鼓動が跳ねたのとほぼ同時に左手で頭を押さえた。
ああ、もう無理矢理立っているのも限界かもしれない。
倒れないうちに布団まで行って、明日の朝にでもハノウから話を聞こうと薄ら考える。
痛みに耐えながら、カシはハノウを見上げた。
ああ、もう無理矢理立っているのも限界かもしれない。
倒れないうちに布団まで行って、明日の朝にでもハノウから話を聞こうと薄ら考える。
痛みに耐えながら、カシはハノウを見上げた。
「…あの……話は………」
「少しだけ、ほんの少しだけ待っていて下さい」
それだけ言い残して、ハノウは早歩きで和室に向かい、数十秒もしないうちに黒いカバンを持って戻ってきた。
「カシ様のそれは…頭痛ですね?」
こく、と頷いたところを見て、ハノウはカバンの口を開き中を探る。
ハノウの手はすぐにカバンの中から出てきた。
透明な小さな袋の中に、ベージュ色の錠剤が入ったものを手にして。
ハノウの手はすぐにカバンの中から出てきた。
透明な小さな袋の中に、ベージュ色の錠剤が入ったものを手にして。
「ワタシが調合した頭痛薬です。
国にも認められていますので安心して下さい。
一回二錠、水と一緒にどうぞ…少しはましになるかと…」
国にも認められていますので安心して下さい。
一回二錠、水と一緒にどうぞ…少しはましになるかと…」
手早く説明したあとに、錠剤と水を注いだコップをカシの前に置いた。
ズキ、とリズム良く襲う痛みを堪えてカシは申し訳無さそうに微笑んだ。
ズキ、とリズム良く襲う痛みを堪えてカシは申し訳無さそうに微笑んだ。
「…すみません」
*
数分前。
ふすまの向こうで誰かが入り、そして部屋を出て行く静かな足音をその人物は寝たふりをしながら聞いていた。
ふすまの向こうで誰かが入り、そして部屋を出て行く静かな足音をその人物は寝たふりをしながら聞いていた。
――?
むくりと上半身を起こしてしばらく考えた後、あちらの様子を見てみようと立ち上がる、と。
「あなたのために…作った…」
突然聞こえた喋り声にびくっと体を振るわせた。
少し高いその声はリコリスのものだ。
ああ、そういえばさっき何か…そうだ、チーズケーキを教わっていたとか。
片付けは、夜も大分遅いためカシ一人がやってくれるとのことで、リコリスは先に眠りについたのだった。
夢の中で誰かに作ってあげているのだろう。
そう思うと暗闇の中で自然と笑みが浮かんだ。
同時に、誰に作ってあげたのか気になってくる。
リコリスがあなた、なんて言うような高貴な知り合いを持っているのだろうか。
いや、彼はそんな二人称を使うような子供であっただろうか。
少し高いその声はリコリスのものだ。
ああ、そういえばさっき何か…そうだ、チーズケーキを教わっていたとか。
片付けは、夜も大分遅いためカシ一人がやってくれるとのことで、リコリスは先に眠りについたのだった。
夢の中で誰かに作ってあげているのだろう。
そう思うと暗闇の中で自然と笑みが浮かんだ。
同時に、誰に作ってあげたのか気になってくる。
リコリスがあなた、なんて言うような高貴な知り合いを持っているのだろうか。
いや、彼はそんな二人称を使うような子供であっただろうか。
――まぁいっか…。
ただの寝言だし。
気にしないことにして、そろそろと隣で寝ている人物を起こさないように歩き始めた。
明日も忙しそうだから、まだ起きているであろう男二人に就寝勧告でもしておこう。
気にしないことにして、そろそろと隣で寝ている人物を起こさないように歩き始めた。
明日も忙しそうだから、まだ起きているであろう男二人に就寝勧告でもしておこう。
――うちも早く寝んとね。
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某高校で文芸部に所属していました自称駄文クリエイター。今さっき命名(←)。オリキャラ好きーです。高校在学中に執筆していた「仮死にとらわれ」という作品の最終話をワケあって連載します、ネットサーフィンで辿り着いた方で1話から読みたいって方がいれば声かけて下さいませ。時々詩や日記や作品解説も。
※個人誌「仮死にとらわれ」は2008年度の作品です、年度の表記を怠ったのを今更ながら後悔;
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